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はじめての筒上山

春の作付けはまだ続きますが、ここで一息、山へ行ってきました。吉野川の上流、旧本川村名野川へ。我が家から登山口まで車で2時間弱、山の奥へ奥へ分け入って行きます。

連日の草刈りで体が固まっているので今回は無理をしないことに。川がとても綺麗。沢も水が豊富です。渡渉が二箇所。濡れ石に滑らないよう気をつけます。飛び移るしかないところもあってヒヤヒヤしましたが無事渡り終えました。そして急な登りに入ります。

 

登りはじめたのは9時半過ぎ。2時間歩いてもまだまだ急登が続きそうなので、正午前に早めのお弁当タイムにしました。穫れはじめの絹さやと今が美味しい蕗。さっと出汁で炊きました。今回の卵焼きは基本のだし巻きに砂糖を少しプラス。

14時近くなってもまだ森を抜けません。藪漕ぎとまではいかないまでも、笹に覆われた中をピンクテープを頼りに進みます。本来はつづら折れに続く道。方角見当で直登したであろう踏み跡がササを薙ぎ倒し道に被さっている箇所が結構あって、こうなると滑りやすくなるし本来の道も余計に判りにくくなるしで困りました。

さて、手箱山と筒上山はまだはるか先。今回は途中で引き返すしかなさそうです。土小屋ルートと合流するあたりまで来てタイムアップ。とにかく疲れました。このところ自転車をサボっていたので足が弱っています。嫁は尚更でしょう。コーヒーを淹れて帰りに備えます。山々を見渡すことは叶いませんでしたが、新緑を十分楽しめました。15時下山開始

  パウンドケーキはクランベリーとレーズン、チョコチップ、胡桃とひまわりの種。嫁のパウンドケーキはハイカロリーで美味しい。木漏れ日の中贅沢なカフェ。 休みながらごとごと下りました。

緊張と弛緩。心地よい疲れに浸っています。

新しいギフトボックス作りました

シンプルな箱にシルクスクリーンで印刷しました。

プリントゴッコが大人気だったという嫁一家。かく言う私の実家でも家族総出で年賀状を作っていました。こういうものづくり、手仕事にテンションの上がる二人。私もここ最近では鋸の鞘や斧の刃沓を作りました。食べるのも忘れて熱中する時間がとても大事でリフレッシュになります。

今年も滝へ

細い山道をゴトゴト小一時間。のり弁とロールパンとアルファベットチョコを買ってアメガエリの滝へピクニックしてきました。昨晩は結構雨が降ったので、凄まじい水量。マイナスイオンで満ちてます。 久しぶりに来ると道の細さやガードレールの抜けた路肩にヒヤっとします。大型トラックと行き合い、カーブミラーを確認しつつ延々バック。深い山奥です。

豊かさとは。ここに来ると自分たちが大事にしたいことを再確認できます。透き通った水、新鮮な空気。まさに空気には鮮度があるんですね。

道上がひと段落しました

樹上作業をするきっかけとなった道上の二本もようやく片付きました。枝を打ったり、今までだと届かなかった高所にロープをかけたり、 山仕事に幅ができました。

玉切りして割って、斜面上の平たい所に放り上げて。ロープで確保しつつ一日で一本を片付けます。キツイので二年に分けました。4シーズンかかったこの道上一帯がこれでひと段落。かつては得られなかったこの陽当たり。清々しい達成感。

同じ中山間地でも、植林や藪に囲まれることなく農地が広がるところもあると思いますが、これから描けるプライベートな空間を思うと、ここが良かったのです。

一輪車を乗り付けることができないので、家まで抱えての搬出。できる限り乾いて軽くしてからごとごと運びます。

ロードバイクでリハビリ

神経伝達を回復させるためには積極的に動かすことが大事。とはいえ、痺れや痛みを庇う動きは新たな故障を生むのではと心配です。ペダリング動作には比較的そういったことがなかったので、整体の先生に「ロードバイクに乗るのは構わないか」訊けば、しかし、逆効果になることもあると言われました。

具体的に何が良くないのか聞いたわけではありませんが、整体を通して認識を改めた背骨のしかるべきラインに従えば、骨盤が後傾し腰の曲がった乗り方が良くないのだろうと考えられます。私としては、とにかく足腰を萎えさせるわけにもいかないし、何より自転車を諦めたくない。そんな訳で、3ヶ月間週1ペースの集中的施術の間もローラーを回すことを日課としました。果たして、3ヶ月ほど経って痺れがとれた時、「正解だったということですね」と言っていただけました。

他のスポーツでもよくあることかもしれませんが、スタンダードというのかトレンドというのか、こう乗るものだという固定観念ほど厄介なものはありません。有り体に言えば、誰を理想とするかなので変遷するものだと思いますし、そもそもが完全ではないであろうにもかかわらず、そうすべきではないと言われれば、どうしても影響を受けますし、払拭するにはよほど自己の積み重ねが必要です。学生時代に少し齧(かじ)った程度で、30代は全く乗らず、40手前になって再びはじめたロードバイク。身体のメンテナンスとして手応えを感じる一方、時に膝や腰が痛くなることもあり、セッティングと併せて試行錯誤を繰り返しました。

腰痛は二足歩行をするようになった故の宿命と言われているそうです。ロードバイクによる前傾姿勢は、前脚である手が短く弱くなったなりの四足歩行の形であり、それを突き詰めてゆけば腰痛改善になるはずなのです。

余談ですが、学生時代に国体が地元高知であり、自転車競技のボランティアスタッフとして、ロードレースの集団後方に付くジープから選手たちの乗る姿を見る機会がありました。百聞は一見に如かず。たくさんいる中に目を惹く選手がいて、そのリラックスした乗り方がとても綺麗で格好良く、今も鮮明に理想としてあります。そして、トラック競技ではスタートの支持もさせていただきました。実際は選手本人がバランスを取っているので、サドルに手を添える程度なのですが、それを知れただけでも貴重な体験ですし、選手の立派な身体、自分とは規格違いの量感に感動したものです。

さて、話を戻します。身体を痛めず鍛えるには、競技志向はなくとも、楽に、速く、遠く、長時間乗れるかどうかは共通の指標であり、椅子に座るように上体を起せた方が楽かというとそうでもありません。農作業の中腰にも通じることですが、腰は曲げるのではなく折るもの。つまり、背筋を伸ばして股関節から折り、骨盤を前傾させる姿勢が基本で、相撲の四股がまさにそれです。私の場合は、農作業に耐えうる身体づくりのためというスタンスで模索してきたのですが、坐骨神経痛というセンサーを得て確信を深めることができました。(間違いであればすぐに痛くなります。)また、整体によって個人で行うストレッチでは限界があるところ、以前よりも背筋が伸びて力の伝達もスムーズになり、今ではただ楽しく気持ちよく乗ることができています。

 

山の暮らしと山仕事

燃料を自給できることの有り難さをしみじみ感じるこの頃。寒い夜も雨の日も不安なく過ごせます。裏山がある程度片付いたので、次は一昨年伐った大径木に取り掛かります。急斜面に水平な足場を作り、道具を新たに揃え、挙動を予想してそこに寝かせる。自分なりに段取ったわけですが、結果は奇跡的だったと思います。自画自賛などありえません。安堵と感謝、そして自己の確認です。

直径80センチを越える株元の方は、両側から刃を入れても届かないため、矢で割ってバラしながら切り進めます。中腰で横方向に槌を振るこれがかなりきつい。日々のストレッチとトレーニングを続けて身体を強く保つことはもはや必須です。とにかく重量物は若いうちに片付けて、良質な薪のとれる山にしていきます。

玉切りできるところまで来ればだいぶん楽。谷側に寝かせたもう一本のおかげで転げ落ちる心配はありません。

週末はもっぱら山仕事。視界が開け本当に居心地良くなってきました。これを片付けたらようやく次が伐れます。一箇所を一度に伐り剥ぐのではなく、裏山や畑の東や西など何年もかけて満遍なく手入れすることで、次なる木を育てながら進めます。わからない不安を抱えながら少しずつ。わかったつもりになって大胆なことをする方が危ないですから。

高村光太郎の詩『道程』の一節、

「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」

二十数年前に北海道の恩師から頂いた言葉ですが、積み重ねてきたことの成果を今こうして眼前に見渡せた時、今後を勇気づけ奮い立たせてくれるようで、なんとも有難い心持ちになりました。自信はその都度塗り替えなければ脆く見失うほどに儚い。現場に立ち続け、此処ぞで踏ん張れる自分であるかどうか。これからも事故なく山の暮らしを続けていけたらと思います。

「お山の宿みちつじ」のプリン。きめが細かく滑らかで本当に美味しかったです。カラメルも美味しかったー!

冬の楽しみ

クリスマスが近づき、今年もヨキコーヒーさんにシュトーレンをお願いしました。ずっしりと質実剛健なお菓子。香ばしいバターとお酒の香り、そしてフルーツとナッツの濃厚な味わい。厚めにカットして頬張るのが幸せです。

日曜日は大抵、薪割り。斧はこの家に残されていた物で、形からして伐採用だと思いますが、特に使いにくいこともないので、愛用させて頂いてます。

矢と槌は自前。斧で割れないとき補助的に使います。当初は斧だけで格闘していたのですが、地元の方がそれらしいのを使っているのを見て、道具屋へ走り手に入れたものです。30代の無茶が祟ってしまったのか槌にヒビが入ってしまいましたが、柄の細さと全体のバランスがよく、気に入って使っています。

天気が続いたので鷹の爪が綺麗に干せました。

初雪の工石山

昨日、麓はみぞれ混じりの雨。山の上は雪でした。雨が止んで晴れ間が見えても風が冷たく、外での作業はかなり冷えました。雪化粧をした峰々を見るとそこへ行きたくなります。

翌日の天気は晴れ。気温もあがる登山日和ということで、近所の工石山へ。朝起きると、家はすっかり冷え切っています。薪ストーブに火を入れ、湯を沸かします。路面凍結が恐いのでお昼頃に向かいました。駐車場にはかつてないほどの車。山は老若男女で賑わっておりました。おばちゃん達はおしゃべりを楽しみ、小さい子がビッグサイズのカップヌードルを美味しそうにすすっています。休日は山で憩う。そんな趣味を持っている人たちが結構いるんですね。

木漏れ日の中、溶けた雪がキラキラ降ってきます。

 雪に縁取られた木々

山が好きだと連呼する嫁

静かな時間

ブナの森でテント泊

紅葉シーズン深まるにつれ、どっぷり山に浸かりたい欲求が高まってきました。昨年登った三嶺を含む剣山系は熊出没情報が目立つので、地元の山へ。汗見川沿いを登っていきます。(11月3日)  眼下の深い谷を流れるのが汗見川。伊予三島へ通じる峠の、その過酷さからついた名前と聞いたことがあります。

12時過ぎに登り始めたので、すぐ陽が傾いてきました。普通ならば下山する時間。すれ違うベテランさんにすれば今から?という感じ。テン泊であることを告げると得心の笑みが返ってきました。早く目的地に着かねばなりませんが、暮れゆく中を歩くのは好きです。遠くで鹿が鳴いてます。 今回は佐々連尾山(さざれおやま)の先にあるブナの森に泊まる予定。張れるところがあるのかどうか、行ったことがないので不安は残ります。水場はないので二人で4ℓ用意しました。(結果、一泊二日で残ったのは0.5ℓ)

 とてもいい場所が見つかりました。無事に張り終え、さて、これからが楽しみの時間。下山を急ぐ必要はないのです。

夕食は弁当。予定では昼が弁当で夜は米を炊いてカレーだったのですが、仕事の疲れが残っていたため朝は無理をせず、登りはじめが12時近くになったので昼は行動食とパンで済ますことに。ロープ場が所々あるアップダウンを4時間ほど歩いた後、煮炊きせず食にありつけるのはかえって助かりました。ご飯を食べながら、最近ニュースになっている遭難について何気なく話していると、気づけば嫁から笑顔が消えています。しまった、またやってしまった。とにかく、すまん。根が健やかな嫁はすぐに気持ちを切り替えてくれるので助かります。やれやれ。

張る際にあたりを調べても鹿の糞は見当たらないし、気になる気配もなかったと思います。逆に、静かすぎるほどで、風も、上では強く吹いているのに此処はそよぐ程度。気温も過ごしやすい。もちろん、私たちの他に誰もいません。何も不安になる必要はない筈です。とはいえ、私だってそれなりに緊張はします。テント泊はどうしたってワクワクドキドキ。

どこでも眠れる人はいいのですが、私も嫁も苦手。下山後に我が家の布団に入った時が極楽と思う方です。毎度長い夜を過ごすことになるのですが、今回は何も考えず只うとうとする時間を楽しもうと思いました。夕食後はまず横になることに。やはり眠れません。

テント内に敷く銀マット、今回は銀の方を表にしてみたのですが、それがいけなかったようで、わずかな傾斜なのに、その上のエアーマットが滑ってすぐズレ落ちてしまいます。直してはズレるの繰り返し。一方の嫁は何の問題もなく安定している様子。さぞ、横で鬱陶しかったことでしょう。輻射熱があるから銀を表にするという話ですが、暖かさはあまりかわらない感じです。そもそも熱源の無いところでは?ですし、下から上がってくる湿気や冷気をまず防ぐという目的では、やはり銀のフィルムが下の方が理にかなっていると思うのですが、、、。結局敷き直すことにしました。

狭い中、荷物をどこに置くかも重要です。私の場合は毎度ザックを空にして足を突っ込むのですが、今回は腰痛が気になってしっくりきません。足元に寄せたところ、それも具合が悪い。整体で膝下にクッションを入れてもらうことを思い出して、そのようにするとようやく落ち着いて眠れるようになりました。枕は取り外しのできる雨蓋に衣類を詰めて。そうこうしているうちに、いよいよ夜の帳が下りたようです。

外に出れば、月明かりに照らされた静かな森が佇んでいます。紅茶でも淹れようか。アルコールストーブで湯を沸かします。もみじ饅頭が美味しい。カサカサ葉の落ちる音がします。

さて、冷えないうちにテントに戻りましょう。寝袋に包まりながら星空が見れたらいいのに。また鹿の鳴き声がしましたが、ビバークの時と違い、蹴られてテントが谷に落ちる心配もないので、まあ落ち着いて寝られそうです。

夜明け。外気温は5℃  POUSSERさんのパンとコーヒーの朝ごはん

 嫁、歓喜の図。

嫁が、ブナ爺にまた会いにきますと言ってます。