今年もぎっちり詰めました。バルサミコ酢と黒コショウを効かせた、IKU FARM PICKLE 初夏の定番です。ピクルス液に水を一切使わず濃厚に仕上がっていますので、小口切りにしても充分アクセントに使って頂けます。
初めての自家採種で育てたにんにく(種芋8キロ)は出来も良く、これまでで一番の収穫となりました。畑の状態は年々良くなり手入れも楽になってきたので、次は10キロ植え付けようと考えています。蕾はこれから一年漬込みます。
今年も仕上がりました、蕗のピクルス。
鳥がさえずり朝日が差しはじめる中の収穫は何とも清々しいもので、毎年同じことを言っているかもしれませんが、毎年新鮮に感動してしまいます。
いく農園は漬け物製造業なので湧き水はそのまま塩素処理せずに使うことができます。その違いが一番出るのはこの蕗のピクルスかもしれません。10キロの蕗を湧き水にさらし半日かけて皮を剥き、また水につけて寝かせるというように、もっとも贅沢に水を使います。
ほのかな苦みと朝露の香り。より華やかにエルダーフラワーと合わせました。甘すぎずさっぱりと食べて頂けるよう、イメージしているバランスはフルーティーなクラフトビールです。(クリームチーズとのサンドを頬張りビールを流し込む絵をつい想像してしまいます)
ですが、冷やした吟醸酒にもっともあうピクルスは?と訊かれれば、この蕗のピクルスを一番におすすめします。
4キロの生姜に対してオーガニックメープルシュガーを贅沢にも1キロ使っているメープルスイート。そのコクと香りがあっての一品です。とにかくおいしさを凝縮させ、一粒を噛んだとき瑞々しさが弾けるように当初よりもあられ切りのサイズが大きくなっています。色もより鮮やかになって生まれ変わりました。
まさに、メープルシロップにまで凝縮されています。わが家ではパンケーキに添えて食べるのが一番のお気に入りですが、そもそも、このピクルスはホットワインをイメージして作ったもの。そして、メープルシュガーを使う発想は、その頃やっていた「まっさん」で初期のワインにメープルシュガーを使ったというエピソードに、おおっ!となって生まれました。だからでしょうか、ウイスキーにとても合うのです。その際にお勧めなのが、ローストしたアーモンドやカシューナッツと合わせ、お好みで黒コショウを粗く挽くというもの。是非、お試しください。
辛みのある大根を、米のとぎ汁で下茹でするという和食の基本から思いつき、夏大根からはじめた塩麹×パプリカ。夏と冬それぞれで作ってきたところ、大根に含まれる水分量がやはり夏の方が多く、甘みや深みがあって食べ応えのあるレリッシュにするには冬仕込みの方がいいという結論に達しました。塩麹の仕込みでも水に対する米麹の割合を上げて更に濃厚になり、チーズ感が増しました。より充実した塩麹×パプリカです。
大根といえば、久しぶりに街に降りたとき友達に、「ん?なんかいいにおいがする、そうだ、燻りがっこのにおいがする!」と言われたことがあります。薪暮らしで、服が燻されていたことに加え、大根の仕込みをしていたからかもしれません。
大根の千切りに共和えしたり、室温に戻したブリーチーズに添えたり、春は色よく茹でた菜の花に添えるのもおすすめです。
大根レリッシュが生まれ変わりました。
実はこれまで、大根独特の臭いをどうすればいいのかと悪戦苦闘してきました。隠し味に少しショウガを入れたり、ゆず果汁を多くしたり、マイナーチェンジを繰り返すもののますます混迷し、いつしか作る瓶数を減らす傾向にありました。しかし、意外と「白い方の大根レリッシュ」が好きと言ってくださるお客様はいて、なんとか打開策はないものかと模索していました。そんなとき、パン屋さんでたまたま買った「ブリーチーズ」のトロリと熟成された中に、その大根の香りがして、それが黒オリーブのパンと赤ワインにとても合うことに驚きました。和風過ぎると思い込んでいたその臭いこそが、大根最大の持ち味であることを再認識したのです。改めてその香りを全面に出すよう当初のレシピに立ち戻り、マスタードとローリエを底上げしてシンプルに仕上げました。
ペンネのミートソースグラタンに少し添えたり、ハンバーグに添えたりしてみましたが、マスタードが効いていて今まで以上に馴染みがよく、レリッシュがあることでメインもワインもよりおいしく感じられました。
おすすめです!
年明けより、温海かぶの収穫と仕込みを進めています。
仕込みばかりだと体が冷えきって腰痛が出たり、運動不足で寝れなくなったりするので、合間に裏山の手入れをしています。当初、植林や竹薮は家やお墓に覆い被さるように迫っていて、誤って倒せば直撃する難しい状況でしたが、6年かけて、そういった危険個所は何事もなく無事に、ではありませんでしたが、順次済ませてきました。
今年はその最後に残っていた家の北西に当たる裏山。土地を離れた家のお稲荷様が残っており、手入れがされず薮となっていました。竹が浸食し、腐れの入った大径木が多く見られ、何時何時こちらに倒れて来るかもしれず、既に直径50センチを超える木々がこのまま更に何十年と放置された将来の事を考えると、色々大事になることも考えられます。近い将来伐るにせよ、祠や榊、田などがあって倒す方向は限られており、こちらが管理する山方向にするならば伐り開いた今でないとこちらも困ります。
言葉足らずではありましたが、了解を得て伐らせてもらうことにしました。倒す方向には地滑り調査のポールやボーリングの穴、そして、残しておきたい楓や樫、椿、椎などの雑木があり、それらを避けるようにしなければならないので、難しいことにかわりはありません。手引書を読みながらの独学、要所は一本一本ロープをかけ、滑車に通してウインチで引っ張り、楔を打って倒します。
まず、侵食していた竹を伐って作業性に問題のないところに積むところから始めました。竹は嵩張り滑りやすく、枝で目を突きやすいので、考えなしに扱うと事故の原因になります。できるだけ長いままをロープで引っ張って運び、立ち木(竹)に挟まるように固定し、その上で作業ができるくらいがっちりと隙間なく積んでいきます。薮の中、枝が四方八方に乱れ、つるに絡まれた檜はロープで引っ張っても中々倒れてくれず難儀しました。収穫されず放置された柚子の木も葛とバラに呑まれ、たった2本でしたが不用意に扱えば足を貫通するような刺が危なっかしく、本来なら頼まれてもやりたくないような仕事でした。
ボーリングの周りには鉄のフレームが溶接されていて、際に生えている木(上写真の手前2本)を倒す時、楔を打つ斧が振れないので竹や細い木を積んで足場を作り、高い位置で伐り倒しました。最終的に一本、どうしても上に掛かる方向にしか倒せない木(下写真の中央)の場合は、その前にフレームに沿って数本倒して枕にし、その上に倒れるようにしました。
慣れてきた時が危ないと思いますが、基本となる受け口と追い口、そして木の重心を見極める精度を上げていくためには、ロープとウインチに頼りすぎると分からないままなので、今回、いけると思う木はできるだけ楔だけで倒すようにしました。
一年、枝葉をつけたまま乾かし、順次、玉切りして割ります。それらの作業性と量を考えると、今期は終了です。
これまでやってきて危なかった事を考え合わせると、事故を起こす危険度が高いのは木が倒れるときよりもむしろ、その後の作業においての方だと感じています。急傾斜地で玉切りにする際に丸太が転がり落ちたり滑り落ちたりする危険。向きを考えず乱雑に倒してしまうとかさ高くなり、不安定な高所作業をせざるを得なくなったり、予想外の力が瞬間に跳ね上がったり。どこでどのような力が働きその状態になっているか把握できていないと、思わぬ事故に遭いかねません。谷に橋を架けるようには倒さないようにし、向きを出来るだけ揃え、下手な力がかかってるところはその都度、片を付けて安定を確保します。試行錯誤しながらなので、ひとりマイペースで進めています。
二日間のイベントを終え、麦山に帰ってきました。
まなべ商店のくみちゃんをはじめ、イベントを企画運営して下さった皆さん、出店者の皆さん、そして、お立ち寄り下さり、イベントを盛り上げて下さった皆様、ありがとうございました。ご当地、松山のラクダピクニックさんで既に見知って下さっているお客様もいて、慣れない街でとても心強かったです。
初日は搬入の際に車のバッテリーが上がってしまうハプニングがありました。5年目で交換時期に来ていたところ、ハザードランプを数十分間点滅させていたことが原因でした。本日、新品に交換してきました。どうもお騒がせしました。
さて、今回の企画は「四国の食卓〜日本酒とともに〜」でした。稲刈りが終わり、酒仕込みのはじりを祝う意味でも、冷やした吟醸酒を屋外でしっぽり楽しむ上で気候的に過ごしやすいという意味でも、この時期はベストタイミングだったと感じました。
海産の干物、薫製もの、根菜たっぷりの猪汁、煮込み。そこに「漬け物」ではなく「ピクルス」とくれば少なからず違和感を感じられるかも知れないと、こちらに不安がありましたが、意外とお客様はすんなり受け入れて下さったようでした。打ち合わせの際、お酒とどんなピクルスが合うかを改めて確認しました。お酒もいろいろ、従来の普通酒もあれば、ベタベタせず繊細で香り豊かな吟醸酒もあります。柑橘系のフルーティーな香りのスッキリ抜けるようなお酒には、新生姜のローズスイートがとても合いました。ローズスイートのレシピは生姜のキレのある辛さが生きるよう、スッキリした甘みにする為にグラニュー糖を使い、生姜がより華やかに香るようにローズフラワーと合わせたもので、蕗のピクルスもまた、華やかな吟醸酒、フルーティーなクラフトビール、マスカットと白ワインをイメージして作ったものです。
ナスのレリッシュは干物や燻製に添えて、にんにく蕾のレリッシュは素材そのものに旨みがあるので、しっかり飲み応えのあるお酒と塩辛のようにちびちび食べてもらえると思います。にんにく蕾はクミンと合うのですが、それでレシピを組んでしまうと日本酒に合わなくなるので加えるのをやめた経緯があります。今回の打ち合わせでは、豆腐に少し、そこにのびるの小口切りを散らしました。すると、ああ〜日本に生まれてよかったという美味しさに変わったのです。お酒がより美味しくなり、豆腐の頼もしさに感心、レリッシュの活躍、のびるってこんなに美味しかったのかと感動するとても楽しい食卓でした。
手探りでピクルスを作り始めた頃から少しずつ今のような方向性に向かったのは、学生時代の親友が酒造りをしていることが一番大きいと思います。季節の便りに送ってくれるお酒は、それまであまりおいしいと思ったことがなかった日本酒のイメージを変えてくれました。その年の作付けがひと段落して収穫を祝うとき、酷使した身体を癒すように染み渡りました。まるで米から生まれた命の水。お酒はわたしたち日本の文化なんだと誇らしい気持ちになったのです。
まるふく農園夫妻と三津浜の田中戸さん
今回のイベントを取りまとめた、まなべ商店のくみちゃんと株式会社エス・ピー・シーの松下さん
四国四県の飲み比べセットがかなり魅力的でした。
ヒビヤレコードさんが穂紫蘇のピクルスと黄色ズッキーニのピクルスを使ったお酒のアテを作って下さいました。
その他、イベントの雰囲気が分かる画像はこちらをどうぞ。