山仕事備忘録」カテゴリーアーカイブ

山仕事備忘録〜田の東その3〜

道上の崖に生えた支障木を伐ります。この並びの3本目。「伐り落とし」で道に落ちないようにします。前日に枝を打ちましたが、隣の栗の木(楢の木かも)が樹幹に干渉し、いじけたところが股になって梢が複数出ており、吊るして処理するのに手間がかかりました。2時間ほど樹上にいて、その日はすでに4本登っていたこともあって集中力も体力もいよいよ限界、メインロープをそのままに、日を改めることにしました。そして2日目。

ひとまず胴綱だけでのぼる。

垂直に垂れたメインロープと比べると、かなり谷側に傾いていることがわかる。重心側に身を置いた方が安定するが、登るだけならなんとかなる。ただ、胴綱が多少ずれ下がる。

谷側に回り込こむ時バランスがとりにくく不安定になるのでスリングでバックアップを取る。残しておいたメインロープに接続。

 細く歪で樹高も意外と高く、木々を突き抜け20メートル近くある。それでも、今回のケースは、登らず伐り倒す方が予測不可能なことが多く大掛かりになり、かえって危険と判断。

崖から舗装路の上に張り出していること。また、樹幹の中ほど、栗の枝が癒着したようになっているところが半分ほど欠損しており、叩いてみても正直なところ判然とせず、終始、不安を抱えことになりました。栗の方には蟻が入っているようで、表面に木屑がびっしり。それでも梢端部を安全に伐り落とすにはできる限り登り詰めなければならない。足元の直径は10センチほど。土踏まずあたりに装着した一本爪スパイクのその一点一点に集中して足を運び、正しい角度と体重で確実に効かせる。ザクザク勢いをつけて刺し込むようなことはしません。

 トップカットの前に胴綱を幹に一回りさせる。通常のU字吊りでは、樹上を移動しやすい反面、思わぬ衝撃や揺れで足を滑らせた場合、それ単体で落下を止めることを期待はできない。(運よく、枝の切り残し部分に引っかかってくれたら助かるかもしれないが、といって、あれもこれもと切り残せば足場が悪くなり、ともすれば靴に当たるそれが釘抜の支点のようになってスパイクの爪が抜けてしまうこともある。また、メインロープに体を預けた時には張り詰めたロープに干渉してしまう。)なので、その場に身体を据えて作業する上では、荷重によって胴綱が締まり固定できるその括りの方がいい。支障のない限り、伐り下げていく際もそのようにする。

チェーンソーで受け口をいれ、鋸で調整。共吊り(登る木自体に吊るす方法)だと衝撃と揺れが大きくなるので、今回は隣の栗の枝に吊りました。手持ちのスリングは1.2メートル。(今回はもう少し長いものの方が良かった)

切り離す梢端部の直径は8センチ、長さは4メートル強。それ以上だと重量がありすぎて、いざという時は上方に細挽きをかけて引っ張るにしてもコントロールできないように思う。

鋸を入れるだけでかなり揺れます。普通のまともな木ならさほど気にならなくても、今回はいちいち不安になります。揺れを増幅させないようにタイミングをずらしゆっくり切り込みます。

 風を受けて反対に傾くことなく、重心に従い素直に倒れてゆく。

梢は下から見上げるよりも数倍嵩高く、量感がある。とにかく生きて水を吸い上げている木は重い。しっかり乾いた製材と比べれば、棒寒天とところてんのぐらいの違いといえば言い過ぎかもしれないが、それくらいに違う。

栗の枝に掛かって手元まで引き寄せることができないので、その枝もまた吊るして切ることに。

手鋸で切り離す。

スリングを予備していたのでことなきを得ました。

 メインロープを伝って下降し、梢を持てるくらいに切り分け、安全なところに落とす。

スリングにぶら下がった末端、これくらいにしてはじめて括りを取ることができる。

 「伐り落とし」といっても誤って落とさないように、最後は鋸で仕上げ持ち支える。そして然るべきところに落とす。チェーンソーは重さ6キロ、刃渡40センチ。(今のところ、樹上作業から直径80センチそこそこの大径木の伐倒まで、全てをこの一台で賄っている。)細く足場の限られた樹上ではスターターコードをひくにも、体側に取り付けたツールホルダーにストラップを掛けて仕舞うまでの一連の動作にも、身体への負荷は容易ではない。なので、1回でエンジンがかからなくても次ではかかるようにしておきたい。エアフィルターの掃除も毎回しておく。また、誤ってロープ類を切ってしまわないよいうに、チェーンのテンションを張り気味にして、スロットルを離せばすぐに回転が止まるよう調整しておく。とにかく、自分の思うように操作出来る状態でなければ樹上ではとても扱えない。キックバックしにくい目立ては絶対条件であった。

 持てるサイズに切っては落とす。これを何度も繰り返し、高度を下げてゆく。

二日目もたっぷり2時間ほどかかってようやく半分まで降りてきました。脛(すね)の内側や腰を圧迫する装具、膝に掛かる無理な荷重、体幹を常に緊張させる姿勢、といった身体を痛める過酷な労働ですが、ここで暮らす自分のためにやっています。

翌日、欠損部をあらためました。

伐り落としたものを順に並べてみます。幹の中ほどとその少し上の2箇所。

身体を預けたのは手にしている短辺側だったので、掛かる負荷を考えると、生きている外輪部の強度を担保する方向としては正解だったかなと思います。とはいえ、自分で受け口と追い口を入れて木を倒すことを考えれば、少くとも直径の三分の一もツルが残っている場合、そうそう引き倒せるものではないし、一気に折れることも、まずありません。

 

 

 

山仕事備忘録〜田の東その2〜

だいぶんスッキリしてきました。木の下にいても安全なように、太い枯れ枝を残さず、打った枝が引っかかったまま、いつ落ちてくるともしれない状態がないようにしてあります。そうしておけば、今後、必要に応じて無理せず一本ずつ片付けることができます。

山仕事備忘録〜田の東〜

来春から始める米作り。その前にまずやらなければならないことが、日当たりの確保と車を乗り入れられるようにすることです。

この一帯は主たる畑から少し離れたところにあり、田の他に梅や柚子の畑、それから少しの植林があります。車を横付けすることもままならず、とても不便でした。杉や檜の枝は伸び放題で下の梅も枯れていく状態。田を始めるあたって、しっかり手入れをすることにしました。

まず、車が乗り入れられるよう、邪魔になっていた柚子の木を4株伐採し、1箇所に山積みにしました。勿体無くてこれまで思い切れませんでしたが、持て余していたこともあり、田をやるということでようやく前に進めます。なお、柚子の木はまだ2株立派なものがあるので、我が家はそれで十分。

次に、植林を伐るため、まずは枝打ちから。ここは倒しておける場所がほとんどないので、樹上から伐り落とす予定。なので、ひとまず、梢端部を残し枝を切り落としていきます。落とした枝は株元に積み上げ、玉切りしたものを上から落としても大丈夫なよう整えます。ギチギチに立て込み幾重にも絡み合った枝々。いずれにしても、樹上作業ができなければ倒しようのない現場でした。ツル絡みもなかなかです。

  スパイクの爪を効かせるには、幹に対して30°から45°の角度が取れるよう体を離す。丁度、腰から下と肘から指先までが2:1なので、「小さく前へ倣え」の姿勢をとって指先が幹に触れるくらいにすれば、内角は30°になる。なお、胴綱を腰の水平ラインより下げることはしない。考えてみれば、体重は胴綱を介して円の接線方向にかかるのだから、身体の垂直方向に(胴綱を)かければ、爪は体重方向に効くことになり最も安定する。

この日初めて樹上でチェーンソーを使い、枝打ちと低い木でトップカットから伐り落とまでしたところ、色々改善点が見えてきました。

安全の確保は体力と集中力次第。セットと解除を繰り返すバックアップシステムは完全ではないし、うっかり刃を当ててしまうとロープは簡単に切れてしまう。昇り降りするタイミングではどうしても爪の当たり角が浅くなりがちで滑ることがままある。時間をかけすぎないということもまた安全のための大事な要素なので、いかに手数を減らすか。

枝を打つことでようやく全体像が見えてきます。落とした枝の片付けもなかなかの重労働。腰と相談しながら進めます。

山仕事備忘録〜三叉路脇の支障木その5〜

いよいよ大詰め、二日目は直径60センチ前後の2本です。1本目は重心が前方、伐倒方向にあるので意図せず倒れ出してしまわないように、2本目は重心が後方にあるため、起こす際にツルが引き抜けないよう気をつけます。いずれにしても方向を定めたならばツルの強度を最後まで確保すること。

これまで、いわゆる大径木については基本的に「芯切り」をしてきました。引き抜けや割れを避けるため、受け口を作った後、その真ん中から切り込んで芯を断ち、ひとつの蝶番であったツルを両側に分ける「芯切り」。その分、切り残してある部分(つまり「ツル」)による抵抗が減るため、楔を打ち込みやすくなります。そういうこともあって、圧倒的重量のある木を起こす場合は積極的に行ってきました。しかし、より厳しく失敗が許されない状況にあって迷いが生まれてきたのです。果たして、その切り方が今回プラスに働くのかマイナスに働くのか。ツルの強度において、芯を切ってより厚く残す方が強いのか、薄くても切らない方が強いのか。

前日の3本目は直径40センチで比較的小柄な木でしたが、芯切りをしない状態でかなりの傾きまでツルが効き、制動力も十分でした。芯は外輪部より強く、逆にそれが仇になって抜けや割れにつながるわけですが、適切なツル幅を見極めることができれば、多少の抜けはあっても、芯を残した方がより制動力を確保できるのではないか。再検証した結果、今回は芯切りをしないことにしました。なお、重心が前方に偏っているとしても、枝打ちによって上方を軽くしてあるので、いきなり割れて(裂け上がって)倒れることはないでしょう。

左側1本目が前方に傾き(追いヅル切りをするほどではないと判断)、右側2本目は後方に傾いている。

樹高が30メートルほどあり重量級ではあるけれど、受け口正面に素直に倒れてくれさえすれば、ケーブルにも路肩にも接触しない。間違いないと思えるところまで傾けた後、最後に楔を打つ。ゆっくり倒れ始める。

 最後の1本。前方の切り株に樹幹が当たって元口が跳ね上がらないよう、高い位置に受け口を作り、梢から着地させる。

 谷側の追い口を入れるところまでは樹上作業。不安定な梯子に足をかけてやるよりも安全。

 重心を後方から前方へ起こすまでが、ツルにかかる負荷の最も大きいところ。ひとまず受け口と並行に追い口を入れてゆく。おおよそ直径の20%ツルを残していれば絶対に大丈夫というものでもないから、楔を打ち込む感触や音を確認しつつ切り進めてゆく。斧目を入れ、裂け具合を確認するために樹皮を剥く。この木は樹幹の途中から股になって広がっており、その分余計にツルへ負荷がかかる。

山側の楔の方が入りやすくツルが先に裂け始めました。重心は谷側にあるということ。なので、山側のツルが谷側より薄くならないよう注意し、真ん中と谷側の楔を重点的に打ち、山側のツルを守ります。最適なツル幅を見極めるため、追い口を少し入れては打ち込み、裂け目を確認し、下にだけ入るまで間を詰めていきます。今回のようなシビアなケースでは切り過ぎることがないよう途中からは伐採鋸を使います。直径60センチくらいまでなら反対側まで刃が届くので重宝しています。楔が入りやすく変わったなら、それ以上追い口を入れることはしません。方向に間違いがないか、ツルに異常はないか確認。最後の一打を加えます。

切り株に「抜け」の後が結構強く残っている。正確に倒すことを最優先する場合、重心が後方谷側にあった今回はむしろそれぐらいツルを厚く残し、強度を持たせることが要だった。

これで全て無事に倒れました。誤差なくまとまったことで後はマイペースに片付けていけます。翌日は整体。

この道の先にはこれからはじめる私たちの田があります。放棄地だったところ、この17年手入れだけは続けてきました。しかし、混沌として好きになれない道というのはどうしても足が向かないもの。日々行き来するため、明るくしたかったのです。幸い、地権者にも伐ってもらえると助かると言っていただけました。いつかはと思っていたことがついに叶い、嫁と祝杯をあげました。

 

山仕事備忘録〜三叉路脇の支障木その4〜

2年に渡たった現場の後半になります。昨シーズンは周囲の藪の片付けから枝打ちを9日かけて行いました。

二つの道に挟まれた、路肩をのぞけば幅わずか5メートル足らずの狭地。そこに樹高20メートルから30メートル、直径40センチから60センチ前後の杉5本をまとめます。枝ぶりを考えれば、樹幹は幅2メートル以内に収めなければならず、後の安全を考えれば、乱雑に重ねず隣り合わせて寝かせなければならない。

重機があれば、多少の誤差も力技でリカバーできるだろうけれど、そうでないなら、より厳密さが求められる。つまり、圧倒的重量をもつ木を伐るという行為は、本来、失敗するかもしれない一発勝負や、場当たり的な楽観でやることではなく、理論的に且つひとつひとつ反応を確認した上で駒を進める行為でなければならない。

その確実性をより高めるには、(地上での)伐倒技術を補完するためにも、事前の樹上作業が必須となる。枝絡みやツル絡み、今回の通信ケーブルのような構造物との接触といった、阻害要因を未然に取り除き、木の全容をはっきりさせる。重心の偏りを可能な限り補正し伐倒方向から逸れる要因を減らす、また、上方を軽くすることで、伐倒の際に狙い通りであるか明確になる角度まで傾けられるようにし、誤差があるなら調整し、いよいよ万全であるとなってからの最後の一手を見極められるようにする。

いつか伐りたいとは思いつつ、いざ伐ろうとなれなかったこの現場について、終始、運任せではないところに至って初めて一歩踏み出せたというのは、つまりそういうことなのだと思います。とは言うものの、今でも出来ると思って伐るわけではありません。それほど、伐るとなって見上げる木は圧倒的存在感を持って我が身に迫ってくるのです。

周囲の藪を片づけ枝を打った昨シーズンから一年寝かせるその間、春一回、夏一回そして秋にもう一回草刈りし、つまづいたり引っかかったりしそうな飛び出した枝を払い、邪魔になる株元を切り戻しました。濃い藪でしたが、灌木や蔓(かずら)もバラも十分朽ちて嵩も減り、滑りやすい竹の足場も随分マシになりました。

 はじめの2本は枝絡みに備えて牽引具をセットする。あくまで念の為。基本的には楔で倒す。

いよいよ伐る段となればコーンと車で道を止め、嫁にも立ってもらいます。

急斜面なので谷側に立つと追い口が顔の高さに。

2本目も同様に牽引具をセットする。

 最後の一手を見極めることができれば余裕を持って退避できる。

 アンカーにした樫、その右にある欅をゲートに見立て、その間に収めていく。その幅が2メートル弱。一本目は若干谷に寄ってしまったけれど、欅が受け止めそこに収めてくれた。

本日の3本目、道脇のこれだけはゲートの外。内側に入れてしまうと角度的に梢が隣地(クヌギ林)に出てしまう。また、この木は道側(ケーブル側)に傾いており、株元から見上げれば、上方は約1メートル路肩側(山側)にある。なので、受け口正面を定めるときはその分谷側に設定する。でなければ、ケーブルに接触しないまでも、樹幹が路肩に当たってしまう。

3本とも上手く収まり、1日目はこれにて終了。明日に備えます。

 

山仕事備忘録〜三叉路脇の支障木その3〜

枝打ちは残り3本。吊るためのロープを先の方に括れるよう、竹で引っ掛け棒を拵えました。ケーブルや道に被っている枝についてはこれで安全に作業を進めることができます。

括りを解くには片手で持ち支えてロープにかかるテンションを一旦緩めなければいけませんが、重すぎてできない場合は、鶴瓶の要領で手繰って地上まで降ろして自分も降りる。もしくは、吊った状態で自分が少し降り、持てるくらいに切り分けて然るべきところに落とします。2本を2日かけて片付け、続けて3日目いよいよ最後。これが最も大変でした。

高い所が好きなのね?なんて聞かれることもありますが、そういうことではありません。

この木は何度も掛け替える必要がありました。要所ではロープでもう一つ別に確保。木の股が何段にもわたって複雑で狭く、コネクターが引っかかったり、綱を渡すその先が見えず届かずだったり。引っ掛け棒がなかったらこの木を登ることはできませんでした。3メートルある胴綱が長さぎりぎりの場面もありました。目標地点にアンカーと滑車を取り付けたら、一旦降りて仕切り直します。

さて、休憩を挟んで下から枝を打っていきます。ケーブルにかかった枝を無事に片付け、幹を周って次というとき、張り詰めた弦を弾くような感触がメインロープから伝わってきました。見上げればアンカーを取り付ける際に切った枝元の出っ張りが干渉して、ロープを弾いたようです。ロープは芯とそれを守る表皮で作られているため、芯が残る限りは大丈夫なはずですが、不安がもたげます。不用意に傷つけないようにしなければなりませんが、二度三度弾いてしまいます。木の複雑な形状により、どうしても横へ振られてしまうのです。昇降機がないので、また何度も掛け替えてポイントまで登り直し、ロープの状態を確認します。表皮の繊維も切れておらず大丈夫そうです。念のため、切り口を平滑に直しました。

さて、次は切った枝が隣の樫の木に引っかかってどうしてもとれません。それは伐倒の際に必要になると思って残しておいた木でした。横に渡した状態のその枝を足がかりに樫の方へ伝っていき、なんとか絡みを取りました。その日中には終わらず、アンカーと滑車をそのままに4日目に持ち越しです。

翌日、いよいよ4日連続ともなれば体の疲れも集中力も限界がきているのであまり欲張らず、作業を終えればアンカーを解除し、一歩一歩降ります。これで9日かかった下準備が終わりました。今シーズンの山仕事は終了です。まずもって倒しやすいようにはなったと思いますが、間違いがないよう一年寝かせます。

ここも空が見えるようになってきました。

山仕事備忘録〜三叉路脇の支障木その2〜

体力がある程度回復したので、2日続けて枝打ちを進めました。

 

胸高直径30~50センチになる5本を幅2メートルそこそのラインにまとめなければならない今回のケース。ケーブルに掛かる枝以外も落とすのは、伐り倒す時の制動を確実にするためです。二つの道に挟まれ藪の中にあった5本は外へ枝を大きく張り出し、重心が偏っています。ツルにかかる負荷を減らし制動力を最後まで確保すること。受け口正面に倒れるようにするその向きが合っているか、確信を持てるまで傾けても倒れ出すことのないようにするための大事な下拵えです。

二本目については、そのまま切り落としても道に落ちることはないだろうと登り始めました。しかし、間近に見れば下から見上げるのとは大違い。片手で持ちながらもう一方で切るなんてできそうにありません。仕切り直そうかとも思ったのですが、とりあえず登れるところまで登り、アンカーを仕掛けることに。枝を跨ぎ、高度を上げていきます。カラビナをオートロック式に替えて少しマシになりましたが、枝を跨ぐたびに解除するのはやはり緊張します。その前に足の爪はしっかり効いているか、カラビナの向きは合っているか、変な力は加わっていないか、胴綱のコネクターはちゃんとセットできているか。うっかりは許されないので集中力が頼みです。

20メートル近くまで登ってきました。これまでで一番高いかもしれません。降りるための余力を残しておかないと。途中、邪魔になる谷側の枝を切り落としたところが、隣の木の枝に引っかかってすんなり落ちてくれません。その枝がかりを取るのが、ちょっとやそっとではいかず、かなり体力を消耗しました。落とす枝落とす枝、どれもこれも引っかかってしまいます。これは流石にいかんということで、降りることに。

ラーメンライスの昼食をとってエネルギー充填。滑車とロープを携え再び登っていきます。でも、あれれ?ザックを背負ったままですよ?

クライミングツールを入れるザックを家との行き来で背負ったまま登っていました。いよいよ集中力に不安が出てきました。このところ、歳のせいもあると思うのですが、夜中に決まって目が覚めてしまい、十分に眠れないのです。ともあれ、アンカーを設置し、滑車を仕掛け、一旦一番下の枝まで降りてから切り上げ、無事二本目を終えました。来週は天気が悪くなるので樹上作業はしばらくお休みです。

山仕事備忘録〜三叉路脇の支障木その1〜

伐る予定の支障木は全部で五本。それぞれに難しい木なので数年かけてやります。まずは侵食していた竹や灌木、バラなどを1日がかりで片付けました。

二日目、いよいよケーブル脇の一本から枝を打ちします。一本打ってみて仕切り直し。もう少し高いところへ滑車を掛け直します。蔦が邪魔をして滑るので剥がしながら登ることに。昨年に元を切って枯らしておいたので少しは剥がしやすかったかもしれません。

枝を跨ぐために命綱と胴綱を掛け替えます。一旦解除する作業にまだまだ不安が残りました。命綱をカラビナで木に括るのは今回が初めてで、ロックし忘れていないか何度も確認してしまいます。そういった余計な不安を減らしていかないと注意力が散漫になり危ない気がします。オートロック式に替えた方がいいかも。

三日目

 ケーブルに全く接触させないためには、もっと上に滑車を仕掛けて枝先を持ち上げつつ切るなり、ロープをもっと先に掛けて枝先が垂れないようにしなければいけませんが、今はこれが精一杯。多少触れるくらいは問題ないでしょう。

上に行けば行くほど作業はシビアになります。命綱はある一定のテンションが掛かっていないといざという時に効かないかもしれないのですが、十分にたるみを取れないことが儘あります。道具の特性を考えれば、はじめに出来るだけ上に登って信頼できるアンカーポイントを確保し、テンションをかけた状態で切り下げていく方が確実かもしれません。

独学なので少しずつ経験を積みながらです。怖さはあるけれど、身をもって知れるのが面白い。三日間ぶっ通しで頑張ったのでしばらく休みます。最終日は19時前に就寝。充実した毎日です。

近所にこんな自然が残っているということ。失いたくないですね。

 

山仕事備忘録〜東の藪’25〜樫の偏心木〜

これほど傾いた木を起こすのは初めてのこと。竹藪から顔を出す格好でした。斜面直下はコンクリートそして柚子ばたけ。

「落葉樹は針葉樹のようにはいかない」とはよく聞きますが、こういったケースはまさにその意味するところを理解しているかが成否の分かれ目となりそうです。牽引によって捻れることを充分に想定しなければなりません。

前段階として、できるだけ枝を落とします。偏りを少しでも軽減するためです。上方に取り付けた滑車を介し牽引具で少しずつ地上に降ろすようにします。 セッティングの手順に課題が残る。

 枝を降ろして片付けて、また登ってを繰り返す。

そのまま降ろすと直下の木々に絡まってしまうので、部分的に枝を落としてバランスを変えたり引き上げ直したり。更にもう一方向からも引っ張ったり送り出したりできたなら、もっとスムーズに片付くのでしょうね。何事も一筋縄ではいきません。

二日目。谷側へ張り出した枝を全て片付けたらセットを外し(滑車を取り付けていたスリングは木の股に噛み込んで取れなかったのでそのまま)、木を起こすためのセッティングに替えます。

ここでもその手順に課題が残りました。ワイヤーロープと牽引具の付属ワイヤーをクリップで繋ぎ、予め滑車に通してから登ったのですが、そもそもクリップはアンカーポイントで使うべきでした。そこに気付いていれば、ロープ類はいずれもフリーの状態で登ことができましたし、樹上でのセッティングはより安全に済んだでしょう。今回はそれで上手くいきましたが、取り付けるにもテンションが掛かって重く、ワイヤー類の取り回しにも余計な注意が必要でした。つまり、明確になったのは「牽引具やアンカーポイントのセットは樹上セッティングが終わってから」です。

 受け口は水平に深く角度を広く取る。向きを前方からも確認し、今一度、牽引具のテンションを強める。

重心は圧倒的に後方にあるので、十分にテンションをかけていないと、追い口を入れる途中で刃を噛み込み、いきなり倒れるかもしれません。もちろん、そんなことにならないよう不用意に切り込むことはしませんし、可能性を一つでもなくすため、木の股に滑車を取り付けて作用点がずれないようにはしてあります。とはいえ、幹には虫食いや腐れが入っており、その範囲によっては思いがけないことが起こるかもしれず、支点であるツルが機能しなかった場合、いくら引っ張っていても横方向に倒れてしまうことを防ぐことはできません。つまり、ツルを正確に作れるかどうかにかかっているということです。

以前読んだ本の中に「追い口を幹に対して直角に入れる」という記述があって、それが基本原則なのかどういうことなのかわからず気になっていたのですが、今回こそ、それが適用される場面だと思いました。今回は傾き曲がった木を牽引して起こします。ツルに加わる捻れの方向。受け口側を前方、追い口側を後方とすると、前方斜め下へ潰れる側と後方斜め上へ引きちぎられる側を想定すると、ツルに低い方と高い方ができるその追い口の入れ方はとても理にかなっています。終盤、元口が後方に滑り落ちないよう、特に引きちぎられる側には十分なつっかえが必要です。(ツルの高さはつっかえの深さとなる)

さて、追い口の入れ方は定まりました。いよいよ伐り始めます。次は必要十分なその幅を見極めること。浅いと裂け上がってしまうので、まず下に裂けるかどうかです。その前に、牽引力が効いているかの確認。切り口がちゃんと開き始めているか目視では分かりにくいので、楔を打ってみます。牽引を少し強めると浮きました。ならばということで、自分が想定している幅まで追い口を少しずつ入れていきます。パンと木が弾ける音がしました。下に裂けたのでもう十分であるということです。更に牽引を強めていきます。少しずつ起き上がってきました。葉も揺れています。

 木の反応を確かめながらなお慎重に進める。

前方斜め下に潰れる側

後方斜め上に引きちぎられる側

だいぶん起きてきました。牽引具にかかる力が徐々に軽くなってきます。気は抜けませんが、いよいよ大詰めです。起き上がった後はそのまま引っ張る方向に倒れるのではなく、傾きと樹幹の曲がりに従って、若干回転しながら道に沿って倒れるというイメージ。

このタイミングで後方にずれ落ちてしまわないように。

無事、思ったところに寝てくれました。この木が片付いたのは大きいです。いずれはと思い立ってから4、5年経ちました。歩くのに心地よい小道にしていきたいものです。

山仕事備忘録〜西の藪’25〜竹の伐採

暮れは大晦日まで、明けては三日から、ひとまず4日間かけて竹藪の手入れをしました。ツルが絡んで余計に大変でしたが寝正月にならず充実していました。しかし、もう腕が上がりません。箸を持つのも重い。ともあれ、良くなると思えるための労働はいいものです。