月別アーカイブ: 2018年11月

生鮮野菜を雨風食堂で

朝霧が立ちこめるいく農園。

ご報告になります。高知の雨風食堂でこの10月より、生鮮野菜をお料理に使ってもらえることになりました。奇をてらわず、素材を活かすこと手間を惜しまないこと。私たちの食の原点を思い出させてくれるそのお料理をいただくにつけ、いつか、うちの野菜を使ってもらいたいと強く願ってきました。以前に、行商は大歓迎と言ってもらえてはいたのですが、採算の取れる出荷方法や生産態勢の整備など、こちらが具体策を見出せずそのままになっていたのです。しかし、獣害から否応なく農地の集約と通年栽培に踏み切ったところ作付けの余地が生まれ、野菜を持って行く日は雨風スタッフとして雇ってもらうという嫁からの思いがけない提案があり、一気に実を結ぶことになりました。

週二日ほど嫁が働きに出るとはいえ、本業の展望を開くとてもいい流れが生まれそうです。収穫から最短で品質を確認して直接手渡せること。少量でも続けられること。スタッフとしてもお店と関わる中でコミュニケーションを重ね、何が求められているのかを考える。これから農家として研鑽を積む上では、この人と思える料理人との緊張感のある関係性は欠かせないと思いますし、お取り扱い頂いている個人商店さんやご愛顧下さる方々に届けられる生鮮野菜をより充実させる上でも、とても大事なベースになると思います。

具体的に話し合ったとき、雨風夫婦の言葉の端々からこちらの意図を正確に受け取ってもらえていることがわかり、改めて今後も無理のない関係性を築くことができると思い喜びをかみしめました。ひとまずは9月中旬の種播きに間に合った葉物やこれまでも作り続けている温海かぶや大根、人参の間引きなどからスタートです。

ここ数年は自分達の足下をしっかり見つめ直し、次なる一歩を踏み出すための足場固めに籠りがちでした。1時間以上掛けて通うことや慣れない仕事は大変ではありますが、なにより雨風食堂がとてもいい職場であり、日頃から仕事で人前に立つこと、気の合う友人との何気ないおしゃべりがありがたく、嫁もうれしそうです。私自身も畑に立つとき、すでに注文が入っている野菜を収穫できることに喜びを感じています。

小松菜

大根

温海かぶ 春菊水菜人参

 

放棄地の手入れ

家と土地の契約がようやくまとまりそうです。そして、契約に含まれてはいたものの、利用権等いろいろ問題があって本腰を入れることができなかった放棄地、20aを畑にすべく、手入れを始めました。

土地がまとまってはいるものの、東と南を杉や檜の植林に、西をクヌギ林に覆われて陽がまともに当たるのはわずか2割ほど。太い灌木の他に始末に困る梅や柚子の木をバラや葛が覆い、水が滞り石積みも崩れています。今後いい畑になるかは東と南側の植林を伐らせてもらえるかどうかに掛かっているのですが、地権者にお願いするにもまずは耕作地に整えてからになります。生鮮野菜の出荷を充実させるためにも、輪作の中に休ませる期間を持たせることはやはり大事になると思うので、この20aの土地は重要です。

今年初めて作付けした畑と10年手入れしてきたものの昨シーズンで手放さざるを得なかった畑とでは、作物の生育も必要となる手入れも大きく違い、改めて年月と労力を積み重ねることでしか得ることの出来ない実力というのを感じました。放棄地の復旧作業や畑の基盤造りが骨の折れる仕事には違いなく、これまでを合計すればを80aを手がけ、仕方のないこととはいえ、その8割を手放しました。全くの無駄骨だったとは思っていませんが、身体への負荷は蓄積されており、手の痺れや首、膝、腰の傷みなど、消えない代償を払うことになりました。今回手を入れ始めた土地がいい畑となるにはやはり10年かかり、50歳になっていることを思うと、これを最後にしたいところです。「人生、諦めと覚悟」とはよく言ったもので、ここでやるしかないということを今一度確かめています。