月別アーカイブ: 2016年11月

ある晴れの日

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妹が久しぶりに麦山へ遊びに来てくれました。

いく農園のイラストは彼女が描いたもので、嫁がデザインに落とし込んでいます。6歳年が離れているので、私が実家を出たときにはまだ小学校を卒業したばかりでしたが、いつの間にか社会人となり、もう三十路。遠く離れた土地で彼女の人生を歩んでいます。

人はそれぞれに背負うものがあり、課せられた制約の中で生きていると言えるのではないでしょうか。制約という言葉を改めて辞書で調べてみると、「物事の実現・成立に欠くことの出来ない条件」という思ってもみなかった語義がはじめにありました。先ず思い浮かぶであろう「妨げ」や「足かせ」のような意味の、「ある条件をつけて自由な・活動(成立)を妨げること」はその後。なるほど、考えてみれば自分にとっては辛いことでしかなかった症状・体質も、困った性格も、今の暮らしと仕事に至る原動力となってきました。それがなければ、健康を切望することもなかったでしょうし、性質を直すのではなく活かせる、自分なりの仕事を探し求める必要もなかったでしょう。そして、続けるためには、揺らぎようのない明確な理由が必要だということも日々感じています。人にとって、重く足かせのようにしか感じられないことが、実は自己実現のために欠くことのできない条件だということを先人は教えてくれているのかもしれません。

妹と次に会えるのはいつになるかわかりませんが、また楽しい食事をともに出来たらそれでいいと思います。

 

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「いろんなことがあるけれど、私は元気です。」

 

 

 

四国の食卓 2016,11,19/20

二日間のイベントを終え、麦山に帰ってきました。

まなべ商店のくみちゃんをはじめ、イベントを企画運営して下さった皆さん、出店者の皆さん、そして、お立ち寄り下さり、イベントを盛り上げて下さった皆様、ありがとうございました。ご当地、松山のラクダピクニックさんで既に見知って下さっているお客様もいて、慣れない街でとても心強かったです。

初日は搬入の際に車のバッテリーが上がってしまうハプニングがありました。5年目で交換時期に来ていたところ、ハザードランプを数十分間点滅させていたことが原因でした。本日、新品に交換してきました。どうもお騒がせしました。

さて、今回の企画は「四国の食卓〜日本酒とともに〜」でした。稲刈りが終わり、酒仕込みのはじりを祝う意味でも、冷やした吟醸酒を屋外でしっぽり楽しむ上で気候的に過ごしやすいという意味でも、この時期はベストタイミングだったと感じました。

海産の干物、薫製もの、根菜たっぷりの猪汁、煮込み。そこに「漬け物」ではなく「ピクルス」とくれば少なからず違和感を感じられるかも知れないと、こちらに不安がありましたが、意外とお客様はすんなり受け入れて下さったようでした。打ち合わせの際、お酒とどんなピクルスが合うかを改めて確認しました。お酒もいろいろ、従来の普通酒もあれば、ベタベタせず繊細で香り豊かな吟醸酒もあります。柑橘系のフルーティーな香りのスッキリ抜けるようなお酒には、新生姜のローズスイートがとても合いました。ローズスイートのレシピは生姜のキレのある辛さが生きるよう、スッキリした甘みにする為にグラニュー糖を使い、生姜がより華やかに香るようにローズフラワーと合わせたもので、蕗のピクルスもまた、華やかな吟醸酒、フルーティーなクラフトビール、マスカットと白ワインをイメージして作ったものです。

ナスのレリッシュは干物や燻製に添えて、にんにく蕾のレリッシュは素材そのものに旨みがあるので、しっかり飲み応えのあるお酒と塩辛のようにちびちび食べてもらえると思います。にんにく蕾はクミンと合うのですが、それでレシピを組んでしまうと日本酒に合わなくなるので加えるのをやめた経緯があります。今回の打ち合わせでは、豆腐に少し、そこにのびるの小口切りを散らしました。すると、ああ〜日本に生まれてよかったという美味しさに変わったのです。お酒がより美味しくなり、豆腐の頼もしさに感心、レリッシュの活躍、のびるってこんなに美味しかったのかと感動するとても楽しい食卓でした。

手探りでピクルスを作り始めた頃から少しずつ今のような方向性に向かったのは、学生時代の親友が酒造りをしていることが一番大きいと思います。季節の便りに送ってくれるお酒は、それまであまりおいしいと思ったことがなかった日本酒のイメージを変えてくれました。その年の作付けがひと段落して収穫を祝うとき、酷使した身体を癒すように染み渡りました。まるで米から生まれた命の水。お酒はわたしたち日本の文化なんだと誇らしい気持ちになったのです。

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まるふく農園夫妻と三津浜の田中戸さん

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今回のイベントを取りまとめた、まなべ商店のくみちゃんと株式会社エス・ピー・シーの松下さん

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四国四県の飲み比べセットがかなり魅力的でした。

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ヒビヤレコードさんが穂紫蘇のピクルスと黄色ズッキーニのピクルスを使ったお酒のアテを作って下さいました。

その他、イベントの雰囲気が分かる画像はこちらをどうぞ。

 

イベントのお知らせ

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今週末、11月19日、20日の両日、まなべ商店さんのイベントに出店します。

場所は松山にある商業施設「アエル松山」です。

まなべ商店のくみちゃんがセレクトした商品や、その縁で集まった人たちのお料理と四国の地酒が楽しめます。いく農園のピクルスもお料理に使って頂く予定です。

イベントページはこちら

 

家のこと〜その1〜

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植林と竹薮で鬱蒼としていた裏山が大分明るくなってきました。小さい頃に住んでいた街は欅並木がきれいでドングリや落ち葉が敷き詰まる森のような公園がありました。それが原風景にあるので、裏山に欅が見つかったときは特に嬉しくなりました。楠もまた思い入れのある木なんです。

家の周りの環境を整えることは家を維持するためにも欠かすことのできない仕事です。しかし、これまで山に呑まれ雨漏りしていたこの家は、屋根を葺き替えてはあったものの、痛みはすでに隅々まで進行していたようです。夜静まった頃、カサカサ物音がするので何かと思えば、障子戸の敷居がシロアリに食われている音でした。指で押せば穴があくほどになり、簡単に剥げるので剥いでいくと、芯までスカスカ。日を改め、大工さんに床下を見てもらったところ、土台が大方やられており、差し替えて修復できるレベルではないことがわかりました。もちろん、消毒が効くことも期待できません。

傷んだところを補修しつつ住んでいけたらと考えて、これまで自分たちなりの精一杯のお金をかけ、友達の大工さんの厚意に甘えてきましたが、もはや、いずれ建て替えることに腹を決めざるをえなくなったのです。家主さんともいずれ話し合いをしなければなりません。

せめてあと10年、15年、もってくれたらいいのですが。

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(その2につづく)

畑のようす~11月上旬

 

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今年の人参ははウサギにもやられず、わさわさ茂っています。

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生姜は霜除けのために不織布をはりました。こうしておけば12月の中旬までは畑で元気にいてくれますので、収穫したての瑞々しい生姜を順次仕込むことができます。

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ニンニクはたっぷり敷き草をしました。

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