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春がまた巡ってきました

エンドウに支柱を立て、ニンニクやタマネギの草を取り、苗立て中の作物も芽を出し始めました。

年明けより身体を鍛えると決め、日課になってきたランニング、時々自転車、週一の水泳。3ヶ月経った辺りから身体に少しずつ変化が見えてきました。何を目指しているのかと聞かれることもありますが、もちろん農業のためです。これから作付けの時期は連日の力仕事になり、日程の詰まった作業をこなせるかどうかは体力にかかっています。腰痛や肩こりは劇的に改善されました。草刈り機やチェーンソー作業による手の痺れは血行を良くするしかありません。膝の違和感はまだまだ改善されませんが、関節周りを鍛えてサポートする方向です。衰えていく一方であったのが、鍛えることによって身体が良くなることを実感できるのは励みになりますし気持ちが前向きになれます。

 

丸信商店さんへ

本日の生鮮出荷は千葉県木更津の丸信商店さんへ。

家業の八百屋を継がれた丸信さん。未だお会いしたことはないのですが、その細やかなお心遣いとお便りのやり取りを通して私たち夫婦は精神的にも助けられてきました。生鮮野菜の需要に確信が持てずにいた時も、変わらずご注文くださり、励まされてきました。

よく聞く話として、生鮮野菜といった農産物が消費者の元に届くまでにはいろんな業者が入り、農家の身入りはそのために低いということがありました。今も尚そういう状況はあると思います。しかし、いく農園が取引させていただいている個人商店さんにはありがたいことに、こちらが決めた直売価格で卸させていただいております。そして、個人のお客様と何ら変わらないお付き合いをさせていただいており、一方向の偏った関係性はありません。それは、丸信商店さんやまなべ商店さんのご理解とお心遣いによってはじまりました。

いく農園から直接お買い求め頂く場合、送料のご負担をお客様にお願いしており、丸信商店さんやまなべ商店さんでお買い求め頂く場合でも相応の価格に収まっていると思います。どうぞ、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

 

生鮮野菜を雨風食堂で

朝霧が立ちこめるいく農園。畑には葉物や根物がすくすく育っています。

さて、ご報告になります。念願叶い、高知の雨風食堂でこの10月より、生鮮野菜をお料理に使ってもらえることになりました。奇をてらわず、素材を活かすこと手間を惜しまないこと。私たちの食の原点を思い出させてくれるそのお料理をいただくにつけ、いつか、うちの野菜を使ってもらいたいと強く願ってきました。以前に、行商は大歓迎と言ってもらえてはいたのですが、採算の取れる出荷方法や生産態勢の整備など、こちらが具体策を見出せずそのままになっていたのです。しかし、獣害から否応なく農地の集約と通年栽培に踏み切ったところ作付けの余地が生まれ、野菜を持って行く日は雨風スタッフとして雇ってもらうという嫁からの思いがけない提案があり、一気に実を結ぶことになりました。

週二日ほど嫁が働きに出るとはいえ、本業の展望を開くとてもいい流れが生まれそうです。収穫から最短で手渡せること。少量でも続けられること。スタッフとしてもお店と関わる中でコミュニケーションを重ね、何が求められているのかを考える。これから農家として研鑽を積む上では、この人と思える料理人との緊張感のある関係性は欠かせないと思いますし、お取り扱い頂いている個人商店さんやご愛顧下さる方々に届けられる生鮮野菜をより充実させる上でも、とても大事なベースになると思います。

雨風夫婦と具体的に話し合うなか、こちらの意図を正確に受け取ってもらえていることがわかり、改めて今後も無理のない関係を築くことができると思い喜びをかみしめました。ひとまずは9月中旬の種播きに間に合った葉物やこれまでも作り続けている温海かぶや大根、人参の間引きなどからスタートです。いく農園オンラインショップへのアップが間に合ってはいませんが、菜物などご入用の場合ご一報下さればその時ご用意できるものをお知らせしますので宜しくお願いします。

ここ数年は自分達の足下をしっかり見つめ直し、次なる一歩を踏み出すための足場固めに籠りがちでした。1時間以上掛けて通うことや慣れない仕事は大変ではありますが、なにより雨風食堂がとてもいい職場であり、日頃から仕事で人前に立つこと、気の合う友人との何気ないおしゃべりがありがたく、嫁もうれしそうです。私自身も畑に立つとき、すでに注文が入っている野菜を収穫できることに喜びを感じています。

小松菜

大根

温海かぶ 春菊水菜人参

 

放棄地の手入れ

家と土地の契約がようやくまとまりそうです。そして、契約に含まれてはいたものの、利用権等いろいろ問題があって本腰を入れることができなかった放棄地、20aを畑にすべく、手入れを始めました。

土地がまとまってはいるものの、東と南を杉や檜の植林に、西をクヌギ林に覆われて陽がまともに当たるのはわずか2割ほど。太い灌木の他に始末に困る梅や柚子の木をバラや葛が覆い、水が滞り石積みも崩れています。今後いい畑になるかは東と南側の植林を伐らせてもらえるかどうかに掛かっているのですが、地権者にお願いするにもまずは耕作地に整えてからになります。生鮮野菜の出荷を充実させるためにも、輪作の中に休ませる期間を持たせることはやはり大事になると思うので、この20aの土地は重要です。

今年初めて作付けした畑と10年手入れしてきたものの昨シーズンで手放さざるを得なかった畑とでは、作物の生育も必要となる手入れも大きく違い、改めて年月と労力を積み重ねることでしか得ることの出来ない実力というのを感じました。放棄地の復旧作業や畑の基盤造りが骨の折れる仕事には違いなく、これまでを合計すれば1haを手がけ、仕方のないこととはいえ、その8割を手放しました。クラインガルテンの候補地になったからという一方的な理由で還すことになった30a。獣害対策と農地の集約というこちらの都合で、還した20aと作付けを諦めて草刈り場にした25a。全くの無駄骨だったとは思っていませんが、身体への負荷は蓄積されており、手の痺れや首、膝、腰の傷みなど、消えない代償を払うことになりました。今回手を入れ始めた土地がいい畑となるにはやはり10年かかり、50歳になっていることを思うと、これを最後にしたいところです。「人生、諦めと覚悟」とはよく言ったもので、ここでやるしかないということを今一度確かめています。

 

畑のようす

人参もニンニクも無事出揃いました。そしてエンドウを播きました。

      

生姜や里芋の収穫が始まりました。

不耕起栽培と鍬仕事

土地を集約し、隔年栽培から通年栽培へ。この畑ではキャベツの後作を人参。大根やレタスの後作にはニンニクを植えることにしました。

種を播くにあたり、敷き草が嵩張るので鍬を使って馴染ませることにしました。

ここで改めて不耕起栽培について触れてみたいと思います。

不耕起栽培は耕さないと書くので誤解を招きやすいのですが、全く耕さないというような、これまでの常識を覆す大それたものではありません。いずれにしても畑仕事には播き床や植え床を整えたり、収穫で掘り起こしたり、耕していることになるのでは?という仕事は往々にしてあります。ただ、耕す上では勘所や過ぎたるは及ばざるがごとしといった注意すべきことがあるので、逆に、耕さないことによる効果を考えると、必ずしも耕す必要はないというのが不耕起栽培です。

とはいうものの、何処までを必要とするのか見極めが難しく、つい不耕起という言葉にも縛られてしまいます。これまで耕すことを避けてきたため、出番のなかった又鍬。あくまで、畝は壊さないように、表層5センチから10センチを耕すにとどめるよう気をつけて刈草を土に馴染ませます。温故知新ではないですが、固定観念からはなれて鍬を振るえたとき、コツコツ聞こえる鍬の音が心地よく、とても清々しい気持ちなりました。

 

この夏

この夏は梅雨の長雨で地盤が緩んでいたところ台風による豪雨が直撃し、各地で地滑りが多発しました。当農園では一か所、畑の真ん中から下の道へ広範囲 にわたって地盤が沈み込み、一メートル弱の段差が生じてしまいました。(写真下の上段、畦に陰が出来ているところから畑の中に向かってるえぐるように地滑りが起きています)そもそも獣害によって耕作を諦め草刈り場にしていた土地でしたので、まだしもでした が、耕作しているところでも石垣が崩れ始めていたりするので、今後の維持管理が大変になりそうです。

そして、そこから盆が明けるころまで1か月まとまった雨が降らず、ズッキーニやキュウリは思わぬ不作となってしまいました。作付けしたのは手入れをはじめてまだ4年の畑、やはり実力不足は否めませんが、土を乾かさないよう、敷き草を厚く敷くタイミングが遅くなったのも原因の一つでした。例年よりかなり少量ですが、採れる分をできるだけ仕込みました。

一方、10年目となる畑のオクラやナスはその分、まずまずの出来でした。

毎年干ばつに豪雨に大変な夏です。川に行くチャンスも限られていましたが、シーズン最期は存分にきれいな川を堪能しました。

土作り

隔年栽培から通年栽培に切り替え、刈草を充分入れるようになりました。1aあたり軽トラ2車で、15aを耕作するために年間30車は必要となる計算です。今年に入って20車運びましたがやはり足りないので、冬作に向けても早く補充したいところです。

土を肥やし作物を育てる。作業はとても単純ですが目に見えて土が良くなると、いわゆる肥料が土ではなく作物を肥やすためにあったことに気付かされます。

細断して畑に入れます。茅だけではなくよもぎも沢山入っているのでいい香りがします。