いよいよ大詰め、二日目は直径60センチ前後の2本です。いわゆる大径木ですが今回は芯切りをしないことにしました。正直なところ、芯切りについてはまだ自分の中で答えが出ていません。引き抜けや割れを避けるためにするのは理解できるのですが、ツルの強度において、芯を切ってより厚く残す方が強いのか、それに比べたら薄いとしても切らない方が強いのか確信が持てないからです。ただ、同じ厚さなら芯を切っていない方が強いことには違いないでしょう。
前日の3本目は直径40センチで比較的小柄な木でしたが、芯切りをしない状態でかなりの傾きまでツルが効いてくれました。今日の2本はそれよりも太いですが、枝打ちによって上方を軽くしてあるので同様に効くと思います。
さて、いよいよです。4本目は重心が前方、伐倒方向にあるので意図せず倒れ出してしまわないように、5本目は重心が後方にあるため、起こす際にツルが引き抜けないよう気をつける必要があります。いずれにしても方向を定めたならばツルの強度を最後まで確保すること。
樹高が30メートルほどあり重量級ではあるけれど、受け口正面に素直に倒れてくれさえすれば、ケーブルにも路肩にも接触しない。間違いないと思えるところまで傾けた後、最後に楔を打つ。ゆっくり倒れ始めます。
5本目。前方の切り株に樹幹が当たって元口が跳ね上がらないよう、高い位置に受け口を作り、梢から着地させる。
樹幹の途中から股になり枝も広がっているため、普通よりも左右への負荷がかかることが予想されます。楔を打つ重さや音を確認しながら少しずつ間を詰めていきます。重心を後方から前方へ起こすまでが特に大変。手斧の背で思いっきり打ち込みます。山側のツルが先に裂け始めました。ただ、上下ともに裂け目が入っています。追い口がまだ浅いということ。測ってみると10センチ以上。まだ十分過ぎるほどに残っています。今回のようなシビアなケースでは切り過ぎることがないよう途中からは伐採鋸で追い口を入れます。
今回も最後の一手は楔。打つ感触が軽くなっていくということは追い口をそれ以上入れるべきではないということ。無事に倒れました。
翌日は整体。枝払いや後の始末は翌々日に持ち越しです。
この道の先にはこれからはじめる私たちの田があります。久しく薮となった放棄地だったので、この16年手入れだけを続けてきました。しかし、雰囲気が悪く好きになれない道というのはどうしても足が向かないもの。まずはそれを払拭したかったのです。これまでもこの暗かった三叉路を中心に、放棄林の手入れを重ね、道にかぶさる支障木を伐ってきました。暮らしの中で日々行き来する道。出来ることなら四季折々の美しい場所にしていきたいものです。



