山仕事備忘録〜三叉路脇の支障木その4〜

2年に渡たった現場の後半になります。昨シーズンは周囲の藪の片付けから枝打ちを9日かけて行いました。

二つの道に挟まれた、路肩をのぞけば幅わずか5メートル足らずの狭地。そこに樹高20メートルから30メートル、直径40センチから60センチ前後の杉5本をまとめます。枝ぶりを考えれば、樹幹は幅2メートル以内に収めなければならず、後の安全を考えれば、乱雑に重ねず隣り合わせて寝かせなければならない。

重機があれば、多少の誤差も力技でリカバーできるだろうけれど、そうでないなら、より厳密さが求められる。つまり、圧倒的重量をもつ木を伐るという行為は、本来、失敗するかもしれない一発勝負や、場当たり的な楽観でやることではなく、理論的に且つひとつひとつ反応を確認した上で駒を進める行為でなければならない。

その確実性をより高めるには、(地上での)伐倒技術を補完するためにも、事前の樹上作業が必須となる。枝絡みやツル絡み、今回の通信ケーブルのような構造物との接触といった、阻害要因を未然に取り除き、木の全容をはっきりさせる。重心の偏りを可能な限り補正し伐倒方向から逸れる要因を減らす、また、上方を軽くすることで、伐倒の際に狙い通りであるか明確になる角度まで傾けられるようにし、誤差があるなら調整し、いよいよ万全であるとなってからの最後の一手を見極められるようにする。

いつか伐りたいとは思いつつ、いざ伐ろうとなれなかったこの現場について、終始、運任せではないところに至って初めて一歩踏み出せたというのは、つまりそういうことなのだと思います。とは言うものの、今でも出来ると思って伐るわけではありません。それほど、伐るとなって見上げる木は圧倒的存在感を持って我が身に迫ってくるのです。

周囲の藪を片づけ枝を打った昨シーズンから一年寝かせるその間、春一回、夏一回そして秋にもう一回草刈りし、つまづいたり引っかかったりしそうな飛び出した枝を払い、邪魔になる株元を切り戻しました。濃い藪でしたが、灌木や蔓(かずら)もバラも十分朽ちて嵩も減り、滑りやすい竹の足場も随分マシになりました。

 はじめの2本は枝絡みに備えて牽引具をセットする。あくまで念の為。基本的には楔で倒す。

いよいよ伐る段となればコーンと車で道を止め、嫁にも立ってもらいます。

急斜面なので谷側に立つと追い口が顔の高さに。

2本目も同様に牽引具をセットする。

 最後の一手を見極めることができれば余裕を持って退避できる。

 アンカーにした樫、その右にある欅をゲートに見立て、その間に収めていく。その幅が2メートル弱。一本目は若干谷に寄ってしまったけれど、欅が受け止めそこに収めてくれた。

本日の3本目、道脇のこれだけはゲートの外。内側に入れてしまうと角度的に梢が隣地(クヌギ林)に出てしまう。また、この木は道側(ケーブル側)に傾いており、株元から見上げれば、上方は約1メートル路肩側(山側)にある。なので、受け口正面を定めるときはその分谷側に設定する。でなければ、ケーブルに接触しないまでも、樹幹が路肩に当たってしまう。

3本とも上手く収まり、1日目はこれにて終了。明日に備えます。